AI関連企業が株式市場を賑わせているが、それで果たしてバブルは弾けることはないのかという点が気になっている。ドットコムバブルがあったように、今回のAIも過剰に熱しすぎており、いつかどこかで大きく調整が入るのではないだろうか。
個人的にはAIは将来的に有望ではあると思っているが、現在の状況を見る限り、期待が先行しすぎてそれに現実的に社会に価値を還元するレベルにはまだ遠く及ばないように思える。そのため、超長期的に見ればAI関連企業の株価は上がっていくと思われるが、現在の状況は実態とはかけ離れすぎていると思われるために、大きく崩れるときが来るだろうと思われる。
データセンターの問題
AIの需要が高まっていくにつれてデータセンターが多く建設された。データセンターは電力と土地が必要となる。特に電力は非常に多くかかり、それが大きな問題となっている。ここまでは期待が膨らみすぎていたために、多くの電力を用いる免罪符となっていたが、実用的にはまだ問題がありすぎる。
例えば、AIはよくハルシネーションを起こす。ハルシネーションとは、生成AIが事実に基づかない情報や、あたかも真実であるかのように聞こえるもっともらしい嘘を生成してしまう現象のこと。
AIは相関関係の強さに基づいて情報を処理しており、因果関係はわからない。このキーワードが出てきたときには、とあるキーワードがよく一緒に出てくるという確率に基づいて処理しているので、因果関係を理解して文章を作成しているわけではない。
そのため、なぜその結論に至ったのかということを論理的に説明できないというのが今のところのAIの問題点となっている。
AIが活躍できる分野は現状限られている。現状はまだAIはエンタメの中で笑える動画を作ったり(最近だとAIが考えた笑えるおばあちゃんなどが面白かった)、著作権を無視して画像を作成するような用途で活躍しているが、より公的な場では用いるのは難しいと思う。
最近も公認会計士とお会いする機会があった。公認会計士はAIに代替されるのではないかなんていう噂もあちこちで聞く。しかし、実際に公認会計士に聞いてみると、社内では外部のAIは使えないから(情報流出の観点で)AIに頼ることはないと言っていた。もし頼るとしても社内で開発して企業の情報を外部流出しないものでないといけないだろう。現在はAIのサービスを利用すると、AIを公開している企業に無償で情報を渡していることになる。
株価が異常に上がっている現状
現在なぜここまで株価が上がってしまっているのか?それは、スマホにより世界は大きく変わったが、最近のApple社の発表する新作アイフォンがそこまで大きな変化がないように、スマホの登場によって変わった世界の変化度合いも徐々に小さくなってきているからだ。そのため、人々は現状に飽き始めている。
だから次のターゲットとしてAIが選ばれた。AIはまだ実用的にどこまで活躍できるのかもわからない状態で、2045年にはシンギュラリティにより完全にAIが人間の知能を超えるとされている。これは確実に起こるとはまだ言えないことだが、その期待を煽ることで、新しいターゲットとしてAIを選び、人々に関心を与えた。AIで将来は大きく変わるという物語を作り上げて、それを各メディアで大々的に日々煽ることで、AIはここ数年で爆発的に注目を浴びるようになった。
日本国内では、NISAなどもあり投資に関心が高まっている状態だから、特にAI関連企業に多くの資金が集まっている。AIとつけているだけで勝手にお金が集まってしまう。2019年頃にIPOに応募していたが、AIとつけば初期値が異様に高くついたしIPOの販売価格よりも高値で取引されていることがほとんどだった。
実際にそれらの企業はまだまだ自転車操業で、投資家の資金が流入してこなければ潰れてしまうようなビジネスモデルであったとしても、人々が期待のために資金をそこに投資するからなんとか成り立っている。だから、AI関連企業は今後数年くらいでかなり厳しい状況に立たされる可能性が高い。特にほかのビジネスモデルで収益を上げてない場合、人々の過激な熱が冷めて資金が集まりづらくなった時、本当に修羅場を迎える。その時にどうなるか、が一つの見所だろう。
